▼ アーカイブ動画はこちら ▼
災害の「備え」から「復興」へ。
日常から紡ぐ支え合いのコミュニティとは?
SIW DIALOG|もしもPJが考える、都市と復興のあり方
日付:10.31 (金)
時間:09:45 – 10:45
場所:Shibuya Sakura Stage(3F BLOOM GATE)
<登壇>
– 渋谷区副区長
杉浦小枝
– こくみん共済 coop <全労済> 常務理事
仲田昌純
– 株式会社NTTデータ経営研究所
山口葵
– SIWプロデューサー / 一般財団法人 渋谷区観光協会 代表理事
金山淳吾

「もしもPJが考える、都市と復興のあり方」では、渋谷区副区長の杉浦小枝さん、こくみん共済 coop 常務理事の仲田昌純さん、NTTデータ経営研究所の山口葵さんが登壇。能登半島地震から1年半以上が経過した今、災害の備えだけでなく復興期を見据えた支え合いの仕組みをどう社会に根付かせるかについて議論を交わしました。

仲田さんは能登半島地震での事例をもとに、備えの現状を報告しました。こくみん共済 coop として2万1000件超の共済金をお届けした一方、火災共済や火災保険だけでは地震による火災は保障の対象にならないという認識が行き届いていないと指摘。さらに住宅再建には平均して2,500万円程度、家財を含めると3,000万円程度必要となることに対し、国からの支援金は最大300万円、義援金を含めても約400万円程度で、2,600万円は自己負担となる実態についても説明しました。現在はさまざまなインフレが発生しているため、3,000万円でも生活が再建できるのか、改めて必要な保障についてしっかりと見直していく必要があります。

一方、山口さんは能登地震で被災した料理人をセントラルキッチンに誘致し料理を有償販売した取り組みを紹介。利益を得ながら生活再建につなげることができた点、またクリーニング店の方がお弁当を運ぶ協力をするなどの連携事例も挙げ、「被災した人もできることを見つけて動ける環境をつくることで生活再建につながる」と語り、被災者自身の力を活かす仕組みの重要性を説きました。

杉浦さんは防災教育について、渋谷区の防災キャラバンや体育館でのお泊まり体験の取り組みを紹介。実際に体験した中学生からは「非常食がまずかった」「知っている子60人でも眠れないのに、知らない人と一緒だったらどうなるんだろう」といった気づきが生まれたと語りました。山口さんは「日々のいろいろなことが防災につながっている。日常に埋め込まれていることが防災につながると気づくことが総合的な防災教育だ」と応じました。
また、山口さんは自身が取り組むプロジェクト「コミュニティダイニング」について、こう語ります。
「元々は災害時でも暖かくて栄養豊富かつ水分も取れて心が温まるような食事を提供したいと思って始めたが、取り組みを重ねていく中で、食事の内容というよりコミュニティ創出の部分に大きな意義があるというところに行き着いた。災害時に突然コミュニティを作るのは難しいので、普段からコミュニティを紡ぎ直すことで暮らしを良くしていく。災害時にも強くなっていきたいという願いを込めてプロジェクトに取り組んでいる」

地域や企業との連携により一般参加者にコミュニティを作ってもらう取り組み事例として、山口さんは虎ノ門のビルの工事現場や佐渡島で行った事例、良品計画との「もしもキャラバン」での事例などを紹介しました。
杉浦さんは渋谷区で毎年6月に開催しているイベント「おとなりサンデー」を紹介。渋谷区では町内会など地縁関係が高齢化しており、行政課題のひとつにもなっていることから、こうして近所同士で顔を合わせる機会をつくっています。山口さんのコミュニティダイニングの取り組み紹介を受けて、杉浦さんは渋谷区のイベントでも参考にしたいと述べました。
さらにこうした取り組みで食に着目した理由を金山から問われると、山口さんはその理由のひとつとして、能登に「よばれ」という文化があり、普段から地域で集まって食事をする習慣が災害時に活きたと説明。その上で「食は人々をつなぐ力を持っている」と強調しました。
また、都市部における多様なステークホルダーの連携についても議論が交わされました。杉浦さんは「もしもの時はお互い知らんぷりできない。復興に向けてひとつの方向を見ていくことが大事。ひとりのリーダーが頑張ってやるよりもコミュニティでやっていくことが大事で、そういうことを感じ取れる環境、土壌が必要になる」と語りました。一方、仲田さんは、福井県のこくみん共済 coop の会館にてプロバスケットボールチームのパブリックビューイングを実施したところ、これまで全く接点のなかった方々が来てくださり保障や防災の話をすることができたことを、こくみん共済 coop と地域のつながりの事例として紹介しました。

セッションの最後、金山は都市の災害対応力や復興期のエコシステムについて、継続性、担い手、つなげる場、そしてPDCAサイクルが回しにくいという課題を提示し、各登壇者に未来への展望を求めました。
山口さんは「防災と言わなくても普段から顔見知りになっておけるように。防災から入るのではなく、コミュニティから入っていけば自然とつながる」と語り、人間関係の根底にある安心できるつながりの重要性を強調しました。仲田さんは東日本大震災のあとに共済に加入していなかった被災者から「もっと丁寧に説明をしてくれていたら加入していた」と言われた経験を振り返り、「保障の必要性の啓発は、形を変えながらしつこくやっていく。工夫して必要な訴求を続けていきたい」と述べました。杉浦さんは「行政が取り組む防災は備えや発災直後の対応が中心だったが、復興は渋谷の街の活力を失わないためにも重要」と改めて認識し、関係機関や住民とともに課題に取り組んでいくと語りました。
金山は「もしもフェスを通じて、コミュニティダイニングなど様々なアイデアを生み出していきたい」と述べてセッションを締めくくりました。
いつ起こるかわからない災害に対しては、備えから復興までを見据えた行動が必要になります。特に渋谷のように多様な人々が集まる場所では行政、企業、住民が連携しながら、日常からコミュニティを紡ぐことが重要です。今回のトークセッションで語られた事例やアイデアを活かすことで渋谷の災害対応力や復興期のエコシステムがより機能的なものへと発展していくのではないでしょうか。


























