「都市の緑化で街を冷やす!」

「都市の緑化で街を冷やす!」

2026.01.23

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都市の緑化で街を冷やす!その効果を拡大するには?

都市の緑化で街を冷やす!
日付:10.28 (火)
時間:13:00 – 14:00
場所:渋谷区役所 15階

登壇:
– ダイキン工業株式会社 設備営業部 GX推進担当
  片岡碧人
– 渋谷区 環境政策課長
  松岡佐知
– 東急不動産株式会社 環境アセット推進部
  高橋尚宏
– 神戸大学大学院工学研究科建築学専攻 准教授
  竹林英樹
– 渋谷未来デザイン コンサルタント
  久保田夏彦

 

「都市の緑化で街を冷やす!」では、ダイキン工業の片岡碧人さん、東急不動産の高橋尚宏さん、神戸大学の竹林英樹さん、渋谷区の松岡佐知さんが登壇。都市部のヒートアイランド現象や地球温暖化による気温上昇が深刻化する中、「室外機緑化」を中心とした緑化の効果と、その取り組みをどう拡大していくかについて意見交換が行われました。

トークセッションではまず、ダイキンと東急不動産が協力して進める「芋緑化」の取り組みが紹介されました。ダイキン 片岡さんは、日本橋丸善ビルでの検証結果を報告。緑化がない床面と緑化された影の部分で約5度、室外機の熱交換器で約2度の温度差が確認されたと説明しました。

また、街中のクールスポット創出では、北谷公園の大屋根エリアやShibuya Sakura Stageなどに屋外用エアコンとミストを設置しましたが、特に北谷公園の大屋根エリアでは、暑さ指数が厳重警戒以上の状況が79%から4%にまで減少する成果を上げているといいます。

東急不動産 高橋さんは、早稲田大学高口研究室との共同研究(2022年)の成果を紹介。室外機の吸い込み口とその周りで最大4.1度、日射あり条件で平均約2度の温度差が確認され、机上の計算で8〜9%の省エネ効果が期待できると報告しました。

これらを受けて神戸大学 竹林さんは取り組みの位置づけをこう整理します。

「クールスポット創出は市民にとって身近な施策で、危険な暑さを回避する短期目標として市民に直接届く。一方、屋上緑化は自分の施設の改善だけでは街全体を冷やすのは難しく、仲間を増やす必要がある。行政と民間が一緒に、短期と長期のストーリーを持ってやっていくことが重要」と指摘しました。

議論は「都市の暑さによって生じている課題」へ。片岡さんは今年の東京で7〜9月に770回のゲリラ豪雨が発生したことに触れ、「学校でも暑さのせいで外に出られないという弊害がある。そこを緑化で解決したい」と語りました。竹林さんは「渋谷のどこかに集まり冷却空間をシェアすれば、トータルで効率のいい冷房の利用になる。熱中症のメカニズムを理解して戦略を立てれば暑さ対策にもエネルギー対策にもなる」と提案しました。

神戸市では「異常高温シンポジウム」を開催し、夏の暑さがすでに過去とは異なるフェーズに入っていることを市民に伝える取り組みを進めています。竹林さんは「エビデンスに基づいて税金の使い方を考える。ブームではなく、メカニズムを理解してデータをとってコツコツやっていく」と、科学的根拠に基づいた継続的な取り組みの重要性を強調しました。

「緑を使った暑さ対策をどう拡大するか」というテーマでは、各登壇者から実践的な提案がありました。片岡さんは「一般の中小企業やビルオーナーにも課題意識を広げていくことも今後のミッション。緑化はコストがかかるので、それ以上のメリットを提示することが重要」と指摘します。

竹林さんは大学の役割についてこう説明します。

「一つの建物を緑化しても隣の建物は涼しくならない。しかし、一つの建物で緑化した時の効果を数値モデルで社会に示し、都市全体に広げたらこれだけの効果だというエビデンスを提供するのが大学の役割。費用対効果やメンテナンスコストも含めて評価し、実際に行動に移してもらうための後押しになったら良い」

また、緑化の効果については次のように語りました。

「緑は日陰も作るし、蒸発で温度を下げるし、景観、風よけ、汚染物質の除去など複合的な効果が期待できる。しかし、いろいろな効果を他のものと比べて評価するのが難しい。単一機能の技術に比べると緑のコストは高めで、CO2削減や省エネだけで評価すると負けてしまう。研究者がそこをうまく表現しきれていないのも課題だ」

 

最後に渋谷区の松岡さんは今後の取り組みについて、「緑の複合化した効用をどう評価してどう情報発信していくのかは行政としても課題。今日ご紹介いただいた取り組みや竹林先生の実証結果を参考に区内の緑化を進めていきたい」と発言。片岡さんは「緑は誰のものなのかよくわからない、という点が意外なネック。区民・市民参加型の取り組みとして、みんなで連携して緑を増やしていく必要がある」と提案。高橋さんは、「渋谷の再開発は今後も進むが、積極的に緑を導入し、渋谷を冷やしていくことに挑戦したい」と語りました。

都市部のヒートアイランド現象や地球温暖化による気温上昇という現実的な問題はありつつも、都市部に緑を実装していく取り組みには困難な部分も数多くあります。しかし、今回のトークセッションで共有された科学的知見と実践的なアイデアが実現することで、渋谷の緑化による暑熱対策が進んでいくのではないでしょうか。

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