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持続的な防災共助が広げる、官民連携の都市防災のあり方とは?
SIW DIALOG|もしもPJが見据える、都市防災の未来
日付:10.31 (金)
時間:11:00 – 12:00
場所:Shibuya Sakura Stage(3F BLOOM GATE)
<登壇>
– 渋谷区長
長谷部健
– こくみん共済 coop <全労済> 代表理事 専務理事
坂本隆浩

「もしもPJが見据える、都市防災の未来」では、長谷部健渋谷区長と、こくみん共済 coop専務理事の坂本隆浩さんが登壇。2021年3月に始動し、官民連携による防災共助を進める取り組みを展開してきた「もしもプロジェクト」の4年間を振り返りながら、東日本大震災から15年をむかえる2026年に向けた、持続的な防災共助のあり方についてトークセッションを行いました。
もしもプロジェクトは、地域、来街者、企業が連携した取り組みです。2025年8月の「もしもFES渋谷 2025」には101団体が参加、防災大臣も来訪するなど年々盛り上がりを増しています。また現在は渋谷から名古屋、大阪など他都市への広がりをも見せています。
長谷部区長は、渋谷区が直面する都市防災の課題について「昼間人口が多く観光客も多い渋谷では、帰宅困難者対策が最大の課題だ」と指摘します。東日本大震災時の経験を振り返り、こう語ります。
「実際、3.11のときには渋谷駅周辺は帰宅困難者で滞留者がたくさん出て、歩く渋滞も起きた。当時は広報の手段がなかったが、今であればドローンを飛ばして『安心してください』と声がけすることなどもできるんじゃないか。テクノロジーの進化も活用しながらやっていくこともできる。また、行政だけでは解決できない課題なので、こくみん共済 coop さんやこの街の民間企業のご協力をいただきながら、一緒に取り組んでいかないといけない」

また、長谷部区長は、代々木公園で渋谷区民向けに行なっていた総合防災訓練からはじまり現在では、各学校で「防災キャラバン」を開催していること、またそれを通じて実践的な避難所運営と地域コミュニティづくりに注力していることを紹介しました。

話題が「共助の具体的な実践」に移ると坂本さんは、阪神淡路大震災を契機にこくみん共済 coop が果たしてきた役割について語りました。特に印象的だったのは、被災者生活再建支援法の制定に関わった歴史です。
「兵庫県、当会、連合(日本労働組合総連合会)、日生協の4団体で国民会議を立ち上げ、2,500万人の署名を集めた。当時、国の考え方は、個人の財産に対して国のお金を注入するなんてあり得ないということだった。しかし、大きなうねりを作って『やはり必要だよね』ということでできたのが、当会も関わって作ってきた被災者生活再建支援法です」
また、能登半島地震でのこくみん共済 coop の迅速な対応について、長谷部区長は「共済の仲間がいるおかげで、地域のことをよくご存知で情報も早いし、しっかりとアクションをとられている」と高く評価しました。

今後の展開については、両者から前向きな提案が次々と出されるなかで、坂本さんは、福岡、広島、大阪、名古屋、仙台など全国各地の統括本部との連携を通じて「渋谷を発信地にして、全国に広げていく」という展望を語ります。長谷部区長も、防災協定を持つ都市との連携に期待を示しました。
一方、渋谷という街の特性を考えると、日常的な啓発も重要です。長谷部区長は「初めて来る人が毎日いる街なので、情報発信は常にしていかないといけない」と指摘。17時の時報に合わせて街頭ビジョンで防災メッセージを流すアイデアや、小中学校の探究授業で防災をテーマにする可能性などが語られました。坂本さんは「セーフティーネットを作るだけではダメで、交流を作ることが常に大事。紙だけの協定では意味がない」と、実際の交流イベントの重要性、人のつながりの重要性を強調しました。

最後に長谷部区長は「防災にはゴールがない。常に走りながら、先を見据えて取り組む」と決意を新たにしました。また、坂本さんは「都市防災は産官学民の総力戦。本当に災害が起きた時、対応の根っこにあるのは行政であるべきだが、我々はその支えにきちんとなっていく」と述べました。
4年間の取り組みを経て、「もしも」という言葉が持つ力を改めて確認する場となった今回のトークセッション。渋谷で生まれたこの取り組みが、全国の都市防災のモデルとして広がっていくことで新しい都市防災の形が生まれる。そんな可能性が感じられました。

























